お子さまの眼の病気について解説いたします。気になる症状のある方は、お気軽にご相談ください。
弱視
弱視とは視力の発達の感受性期に片目または両目に適切な視覚刺激を受け取ることができなかったために視力の発達が止まったり遅れたりすることによります。
視力の発達の感受性期とは
人間の視覚の感受性は、生後1か月から上昇し1歳半ごろにピークに達し、その後徐々に減衰してだいたい8歳ごろまでに消失すると考えられています。感受性の高い時期ほど弱視治療に対する反応が良く、感受性が減るほど治療に対する反応が悪くなります。
弱視の治療
- 眼鏡を常にかけることで視力の発達を促すことが大切です。
- 視力の良い方の目を隠して悪い方の目でしっかり見る(遮閉訓練)
遮閉訓練は、視力の良い方の目に遮閉具(アイパッチ)を付け、視力の悪い方の目でしっかり見るように促す訓練です。
斜視
物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態が斜視です。常に斜視が存在する場合(恒常性外斜視)と、時々斜視の状態になる場合(間欠性外斜視)とがあります。
当院で可能な治療
治療には、目の位置を真っ直ぐにするために眼鏡を使用することもあります。
場合によっては手術を必要とします。
色覚異常
色覚とは色を識別する感覚のことです。
色覚の異常には、先天性と後天性があります。先天性の場合は原因が遺伝的なものなので、有効な治療法がない一方、色覚異常の程度は変化せず、また色覚以外の視機能は問題がないことがほとんどです。後天性の場合は、なにかの病気(網膜の病気など)の一つの症状として、色覚に異常が現れます。病気の状態によって色の見え方が変わることがあります。先天性の色覚異常というと「先天赤緑色覚異常」をさしています。この場合、色の見え方や感じ方は正常色覚と異なりますが、白黒の世界では決してありません。正常色覚者とは異なった色世界を感受しているといえます。
当院で可能な検査
パネルD15、石原式色覚検査表(アノマロスコープは不可)
仮性近視
近くのものをみるときは目の中にある毛様体筋という筋肉を縮ませ、レンズ(水晶体)を厚くして見ています。(筋肉が緊張した状態)この縮んだ状態が続くと、レンズが薄くならないため遠くが見えにくくなってしまいます。これを調節痙攣といいます。いわゆる仮性近視です。さらにこの状態が長く習慣化されるともとに戻らなくなってしまい、近視になります。
当院で可能な治療
ワック治療
ワックの機械を覗くと中に美しいステレオの風景が見え、狭い室内でも簡単に無限遠方の景色を見つめるのと同じ効果があります。
2022年8月以降は使用不可になりました。今までありがとうございました。
点眼治療
ミドリンM+ミオピン点眼して、目の緊張状態を緩め、疲れた目にもある程度効果があるといわれています。
子供の近視進行抑制について
- パソコンや携帯ゲーム機・スマートフォンの普及に伴い、近年では全世界的に近視人口が増加しています。学童期に強度近視への進行を抑制することが大切と考えています。
- 近視が進行すると、緑内障・黄斑症・網膜剥離など眼疾患の発症が増えます。
- オルソについて
オルソKレンズは角膜中央が周辺より平坦な多段階形状となっており、このレンズを装用することで角膜上皮細胞の再分布化が起こります。数日から一週間で目標屈折度数に到達します。
現在のオルソKガイドラインでは-4.0D以内が適応(=治療を行って効果が見込める近視の程度の範囲)とされています。
オルソKレンズを就寝前に装用し、朝に外します(5時間以上必要)。治療が順調に進むと、日中は裸眼で過ごせる視力が得られるようになります。レンズの正しいケア方法、定期検診をきちんと守れることが処方の絶対条件です。
- 当院での近視抑制治療と効果(私見)
- 小学生から中学生の成長期において、近視進行抑制の可能性があります。自費診療も含まれます。適切な方法・対応を一緒に考えていきましょう。
マイオピン点眼についての動画
近視の進行を抑制することが大切な理由
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。近くで見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸が伸びてしまうと戻ることがありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。
マイオピン(低濃度アトロピン)には眼軸長を伸展させる働きに関連するムスカリン受容体をブロックする効能があると言われています。
マイオピンの特徴
- 副作用がほぼ皆無の良好な近視抑制薬です。
- 近視の進行を平均60%軽減させると言われています。
- 日中のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。
- 目の遠近調節機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えません。
- 近見視力の低下に殆ど影響を与えず、更に累進屈折眼鏡も不要です。
- 毎日就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です。
- 目薬(1本・5ml)は両眼用で1カ月の使い切りです。
- 点眼薬はGMP(医療品製造および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。
処方の流れ
適応 6歳~12才以下の学童の方 ・中等度(-6D)以下の近視の方- お子様の視力・目の状態を診察する必要がありますのでまずは一度受診して下さい(保険診療)
- 検査結果に応じて次回マイオピンを処方します。(ここから自由診療となります)
-
- マイオピン点眼0.01%の場合
初回の処方時、目薬1本、診察、検査代込 1か月3,850円 - マイオピン点眼0.025%の場合
初回の処方時、目薬1本、診察、検査代込 1か月4,400円
- マイオピン点眼0.01%の場合
- その後は、3ヶ月ごとの処方・検査・診察になります。
- マイオピン点眼0.01%の場合
目薬3本、診察・検査代込 3か月11,000円 - マイオピン点眼0.025%の場合
目薬3本、診察、検査代込 3か月12,100円
- マイオピン点眼0.01%の場合
本治療は自費診療(保険適応外)です。
*処方の際は少なくとも2年間継続することをおすすめします。
先天性鼻涙管閉塞症ってなに?
赤ちゃんの涙、メヤニが多い。どうしたらいいの?
先天性鼻涙管閉塞症とは?
目と鼻をつなぐ鼻涙管が何らかの原因で狭くなったりふさがったりして涙が目にたまってしまう病気で、涙が流れるのが止まらなくなる。特に先天的に鼻涙管が変形していたり、管の中に何かが詰まっていたりして閉塞している場合を先天性鼻涙管閉塞症と呼び、生後間もない新生児に見られる。
まずは抗生物質の点眼を併用した涙嚢マッサージをご家庭で行っていただきます。これによって鼻涙管が自然に開通すること(1歳までに)があります。
治療について:涙嚢マッサージ
目の内側、鼻の付け根あたりを人差し指で奥に圧迫する要領で10回程度マッサージを行います。
これを日に3、4度行います。マッサージ後に抗菌薬を点眼することがあります。
また、目が腫れて赤くなったり、涙に粘液や膿が混じったりする場合は、医師に相談されてください。